10月うさぎの部屋

10月うさぎがいろいろ語る部屋

うさぎの気まぐれまちあるき 境界協会FW 東京都vs埼玉県・微高地の美学!

 Facebookを見ていたら、境界協会で2年ぶりのイベント「東京都vs埼玉県・微高地の美学!」が行われることを知った。境界協会は友人に誘われて2年前にイベントに参加しただけだったが、興味を持ったので思い切って参加してみた。イベント中は1人だったが、懇親会に参加したらFacebookの友達が増えたので、参加してよかったと思った。

1.葛西用水

 スタートはつくばエクスプレス八潮駅

 八潮駅に着いたらうまい棒の擬人化が貼ってあって驚いた。

KING OF DAGASHI

 調べたところうまい棒を販売している企業「やおきん」の営業本部が八潮にあるらしい。

 

 出発し、駅前に八潮市のマンホールを見つけた。

 このマンホールにはシラサギが描かれている。ちなみに八潮市の鳥はハクセキレイなので、シラサギではない。

 

 駅前に街区案内図を見つけた。右上に「ハッピーこまちゃん」というキャラクターが描かれている。

 調べたところ八潮市ゆるキャラで、八潮の小松菜畑で生まれたという設定らしい。八潮は小松菜が有名なのか。

 

 先ほどのシラサギとは別のタイプのマンホールを見つけた。

 このマンホールは中央に八潮市の花「くちなし」が、その周辺に八潮市の木「イチョウ」の葉がデザインされている。

 

 真菰田児童公園の柵に八潮市章を見つけた。

 この市章は八潮の二文字を図案化したもので、昭和39年(1964年)に公募により制定された。あと裏側から見ているのでデザインとしては左右反対である。

 

 水路を辿っていくと葛西用水に出た。

葛西用水

 葛西用水は、行田の利根大堰から取水し、足立区へ流下する用水路である。享保4年(1719年)、埼玉県東部の水田灌漑のために造られた。

2.垳

 葛西用水沿いに南下し、新葛西橋交差点で大通りに出る。右手側に「垳ふれあい会館」がある。

垳ふれあい会館

 垳ふれあい会館自体は自治会の集会所なのだが、問題は「垳」という字。この字、見たことはあるだろうか。おそらく、ほとんどの人は見たことがないだろうし、読めないと思う。もし読めたら、地名マニアか、八潮市民か、駒澤大学地理学科で橋詰先生の日本地誌を受講した人くらいだと思う(私は橋詰先生の日本地誌を受講していたので、読めた)。

 正解は「がけ」である。

 この「垳」という字はこの地名と、この地を流れる垳川の名を表記する以外には使われない。区画整理によりこの地名が変更されそうになったこともあったが、地名の保存運動が行われ、垳の地名と漢字は残ったようである。

 

 そのまま南に進むと葛西用水は垳川に合流する。この垳川の看板には「がけがわ」のルビが振ってある。

「がけがわ」

 階段を上がり、ふれあい桜橋の上に来ると埼玉県八潮市と東京都足立区のカントリーサインがある。「境界」だ。

 そのまま東に進むと、小さな神社がある。垳稲荷神社だ。

垳稲荷神社

 「垳」の漢字が使われている神社は全国でもおそらくここだけだと思う。垳稲荷神社の創建年代は不詳だが、江戸時代には垳村の鎮守だったそうだ。

 垳稲荷神社には水準点がある。一等水準点、第11110号だ。

一等水準点 第11110号

 成果状態が正常でないため点の記が閲覧できず、いつ設置されたものかはわからなかった。

 

 垳稲荷神社からさらに東、垳川沿いに進むと、常然寺がある。

常然寺

 建立は応永3年(1396年)、開山は白雲上人といわれており、宗門は浄土宗である。室町時代からある寺院なので、そのときにはここに集落があったことになる。

 常然寺境内には延宝2年垳万人の塔がある。

垳の万人塔

 「垳の万人塔」と愛称されるこの塔は、常然寺第4世の称誉厳貞上人が、万人講を組織して延宝2年(1674年)に造塔した別時念仏供養塔である。高さ4.6m、八潮市内最大の石造物となっている。

 

 常然寺に参拝し、さらに東に進むと埼玉県垳川排水機場の脇に「河川管理境界 垳川」という看板を見つける。

「河川管理境界 垳川」

 この看板は埼玉県が設置したものなのに、「対岸は東京都足立区です」と書かれているのが面白い。

 

 埼玉県垳川排水機場の看板にも、小さく「がけ」というルビが振ってある。

埼玉県垳川排水機場

 やはり「垳」の字は読めないからだろう。

 

 ここで垳川は中川に合流する。中川は埼玉県、茨城県、東京都を流れ東京湾に注ぐ一級河川である。

 

 稲荷下樋管という小さい施設のところで、八潮市と足立区の境界を越える。

稲荷下樋管

目で見てわかる境界

 ここは境界に合わせて舗装が分かれているのが面白い。

3.花畑運河

 六ツ木水門のところで右折し、花畑運河沿いを進む。

花畑運河

 足立区の北東にある花畑運河、花畑川は、大正15年(1926年)に「産業の発展に資する」と認められて建設が認められた運河である。

 すき家足立六木店のある交差点を左折し、そのまま南進し、新広橋交差点のあたりで暗渠から川が開渠になって出てくる。

暗渠と開渠の境界

 これは先ほども説明した葛西用水だ。

 

 先ほどの花畑運河沿いまで戻り、少し北進するとここにも葛西用水の開渠を見ることができる。

暗渠と開渠の境界

 葛西用水を見つけたところで、花畑運河沿いを西へ進む。ここにビバホーム足立神明店があるのでトイレ休憩とした。

ビバホーム足立神明店

 飲んでいた水がだいぶぬるくなってしまったのでビバホームのなかの自動販売機で水を買ったら、阿蘇の天然水が出てきて驚いた。

 ここ、東京なのに。

 

 舎人公園通りを西へ進む。神明町交差点を右折し、再度垳川沿いに出る。この垳川の向こうは八潮市である。ここは自然堤防の上と下に、それぞれ遊歩道が整備されている。

 遊歩道の西端まで行き、八潮市との境界に近づくと、「東京の入口 あだちABC」の看板を見つける。

東京の入口 あだちABC

 ここは東京の入口というのは正しい。埼玉県側を見ると、八潮市カントリーサインを見つけた。

4.綾瀬川沿いを進む

 南に進み、内匠橋で綾瀬川を越える。

綾瀬川

 このあたりの綾瀬川享保12年(1727年)に直流になったようだ。

 綾瀬川沿いに歩いていくと舗装がなくなる場所がある。ここも足立区と八潮市の境界らしく、舗装されている部分が足立区、未舗装の部分が八潮市らしい。

わかりやすい境界

 そしてここに「ルネ綾瀬」という名前のマンションが建っている。

ルネ綾瀬

 綾瀬というのは足立区の地名なので足立区にあるかと思いきや、ルネ綾瀬の住所は埼玉県八潮市浮塚717-1である。敷地内にある水道の仕切弁にも「Yashio City」と書いてある。

「Yashio City」

 千葉にあるのに東京と名乗る某テーマパークを思い出してしまった。

 

 ここからは都県境の遊歩道を歩く。ここは古綾瀬川遊歩道というらしい。遊歩道上に足立区のマンホールを見つけた。

 このマンホールには足立区のシンボルマークが描かれている。このシンボルマークは平成3年(1991年)に制定されたもので、ADACHIのAをモチーフに、チャレンジング・ハーモニー・ヒューマンのイメージ目標のもとに制定されたものである。

 少し進むと、足立区の紋章のマンホールも見つける。

 これは昭和33年(1958年)に一般公募し、制定されたもので、「足立」の足の字を図案化したものである。

 

 「武蔵野の路 舎人コース」の看板を見つけたが、地図屋の視点としてはノースアップじゃない地図はわかりにくいと思ってしまう。

武蔵野の路 舎人コース

 遊歩道からそれ、原っぱに出た。そこに小さな境界杭と大きな境界杭が並んでいる。ここも八潮市と足立区の境界らしい。

 こんなところにも境界を見出すとは、主催者の小林さんは流石だと思った。

5.花畑大鷲神社

 綾瀬川沿いを進む。浮花橋に、八潮市カントリーサインを見つけた。

 綾瀬川沿いを進むと、左手側に長建寺がある。長建寺は浄土宗の寺院である。

長建寺

 実はここにも、水準点がある。一等水準点第11111号だ。どうでもいいけどゾロ目だ。この水準点は金属標らしいが、水が溜まっていて水準点は確認できなかった。

 設置は昭和36年(1961年)であり、地理調査所が国土地理院になったのは前年の昭和35年(1960年)なのに、ここの石蓋には「地理調査所」と書かれている。謎である。

 ひたすら綾瀬川を北上し、足立区鷲宿東公園の角を左折する。途中に白ナンバーパトランプのない消防車が止まっているのが気になった。

 どこの消防署のものかも書いてないし、引退した消防車を個人所有しているのだろうか。

 そのまま進むと右手側に大きな神社がある。花畑大鷲神社だ。

花畑大鷲神社

 この神社の創建は宝治年間(1247~1249年)とされる。祭神は日本武尊(やまとたけるのみこと)。幕末、幕府の命により源義光の子孫である佐竹氏が本殿を改築し、安政元年(1854年)から明治8年(1875年)まで20余年の歳月を要し、竣工を迎えた。総欅造りで数知れぬ大小の彫刻が随所に見られ、正面にある向拝柱に彫られた「昇り龍・降り龍」は左甚五郎13代目後藤与五郎の作と言われている。しかし今は覆堂で覆われ、近くで見ることはできない。

 ここは浅草にある鷲神社とつながりがあるらしく、明治34年(1901年)7月建立の東京新吉原貸座敷有志の名前が刻まれた石板がある。

 境内にまた水準点がある。一等水準点第11112号だ。小林さんに「境内に水準点があるので探してみてくださいね」と言われたので、点の記片手に必死に探していると小林さんがやってきた。どこにあるのか聞いたが、実は小林さんもどこにあるのかわからないらしい。おそらく、埋没しているのだろう。

水準点、このあたりにあるらしい?

 参拝を済ませ、御朱印をもらって集合場所に行くと、神社の人が本殿を見せてくれるというので、覆堂のなかの本殿を見に行った。内部は撮影禁止と書かれていたので写真はないが、彫刻が見事だった。特に「昇り龍・降り龍」の彫刻が印象に残った。

ちなみに御朱印がこちら

6.足立区と草加市の境界を辿る

 花畑大鷲神社を後にして、都道446号、内匠橋花畑線を北上する。しばらく進むとまた足立区と八潮市の都県境に出る。ここには何もない(少し離れたところに足立区のカントリーサインがあるくらい)のだが、それぞれの駐車場に停められた車のナンバーが春日部ナンバー(八潮市側)と足立ナンバー(足立区側)だったのは流石と思った。

 都県境から少し南の道を進むと東京都足立区、埼玉県八潮市、埼玉県草加市のトリプルジャンクション(境界)があるが、ここには何も案内板はない。

 足立区と草加市の境目を進む。可愛らしいマンホールを見つけたが、中央に東京都のマークが描かれているので、東京都のものである。調べたところ東京都住宅供給公社のマンホールである。

 伝右川沿いを進み、橋を渡る。ここが足立区と草加市の境界らしい。境界標もある。

 草加市のマンホールを見つけた。このマンホールは百代橋と松並木がデザインされている。

 足立区と草加市の境界をめぐる。

塀の向こうは東京都

このスキマが都県境

 また草加市のマンホールを見つけた。

 これは草加市章がデザインされており、草加の「草」の古字「艸」と「カ」を図案化したもので、3つの円は2町1村(草加町、谷塚町、新田村)の合併、3つの線は3地区の編入を意味している。

 毛長川の大鷲さくら橋まで都県境を追って、今回のイベントは終了した。草加記念体育館バス停から竹ノ塚駅まで向かう。埼玉県内なら現金180円、東京都内を通ると現金220円となるのが面白い。

 この後は竹ノ塚駅の居酒屋で懇親会に参加し、Facebookの友達を数人増やすことができた。参加して本当によかったと思った。

今回の地図

歩いた日:2022年5月28日

【参考文献・参考サイト】

八潮市のマンホール

https://rojonomanhole.web.fc2.com/saitama/yashio_city.htm

ゆるキャラグランプリ ハッピーこまちゃん

https://www.yurugp.jp/jp/vote/detail.php?id=00000684

八潮市 市章

https://www.city.yashio.lg.jp/shisei/shokai/profile/shisho.html

埼玉県草加市 葛西用水

https://www.env.go.jp/water/junkan/case2/pdf/33.pdf

「垳」を守る会 「垳」採集 垳稲荷神社

http://gake840.blog.fc2.com/blog-entry-126.html

常然寺 常然寺について

https://www.zyo-nenzi.com/blank

エコロジー夢企画 「祝 花畑運河開削90周年」横断幕設置!報告

https://ecoyume.net/2641

足立区 区のシンボルマーク、紋章、木、花

https://www.city.adachi.tokyo.jp/hodo/ku/aramashi/profile/symbol.html

花畑大鷲神社 由緒

http://ootori-jinja.or.jp/yuisyo.html

東京都住宅供給公社のマンホール

http://usagigasi1f2.starfree.jp/toukyou/tonokouiki2/tojyuutakukyoukyuukousya/tojyuutakukyoukyuukousya.html

草加市 マンホールカード(第9弾)【百代橋と松並木】を配布しています

https://www.city.soka.saitama.jp/cont/s1904/020/010/010/PAGE000000000000058775.html

草加市 草加市の概要

https://www.city.soka.saitama.jp/cont/s1301/030/020/040/PAGE000000000000050275.html